「雑草という名の草は無い」という名言を残している植物学者の牧野富太郎博士。
その言葉は、昭和天皇のお言葉としても知られていますね。
おふたりにはどのようなご交流があったのでしょうか?
アイスクリームの差し入れなど、心温まるエピソードをご紹介します。
牧野富太郎と昭和天皇の交流エピソード
日本の植物分類学の父として知られる牧野富太郎博士。
そして、生物学者としても世界的に高い評価を得ている昭和天皇。
おふたりはどのような交流があったのでしょうか?
まずは、共通する名言「雑草いう名の草は無い」について調べてみましょう。
雑草にまつわる名言はいつ、どこで生まれた?
牧野富太郎さんの名言はいつ生まれたのでしょうか?
それは、作家の山本周五郎氏にかけられた言葉だといいます。
山本周五郎氏がまだ記者として仕事をしていた時代(昭和3年頃)に、牧野富太郎博士を取材していたときのこと。
山本周五郎氏が「雑草」という言葉を口走った際に、牧野富太郎氏が指摘をされたそうです。
周五郎が「雑草」という言葉を口走った時、博士はなじるような口調で言ったという。「きみ、世の中に〝雑草〟という草は無い。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている」。周五郎は木村に対し、「これにはおれも、一発ガクンとやられたような気がした」と語っている。
引用:高知新聞
一方の昭和天皇の名言に関してはどうでしょうか?
こちらは、昭和天皇が侍従の方に対してかけられたお言葉ですね。
草刈りを実施して、一部の雑草を刈り残したことをお詫びした際に、
「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決めつけてしまうのはいけない。注意するように。」
とおっしゃったというエピソードが残っています。
牧野富太郎博士から昭和天皇へのご進講
生物学者でもあられた昭和天皇は、牧野富太郎氏の「牧野日本植物図鑑」を参照しながら、植物観察をされていたそうです。
昭和23年には、86歳の牧野富太郎氏は皇居に招かれ、昭和天皇へのご進講を行いました。
昭和天皇の標本を最初に鑑定したのも牧野富太郎博士です。
アイスクリームのお見舞い
また昭和31年7月、牧野富太郎氏の容態が重篤な状態であることが報道された際、昭和天皇は、富太郎氏に「早くよくなるように」と使者に伝言を託し、見舞いのアイスクリームを差し入れてくださったそうです。
その日は何も喉を通らなかった牧野富太郎氏ですが、天皇陛下からの御言葉をきいて、そのうれしさに、茶さじ2杯のアイスクリームを口にしたそうです。
参考:我が思ひ出 遺稿より
そして、天皇陛下は、牧野富太郎氏が死去した際には、祭粢料と切り花を贈りました。
「オオアラセイトウ」
牧野富太郎博士と昭和天皇に関係するエピソードがもうひとつ。
こちらの紫色のかわいい花、
- オオアラセイトウ
- ムラサキハナナ
- ショカツサイ
など、流通する名前が多数あるため、論争が起きました。
その際に、
「牧野が、最初にオオアラセイトウの和名をつけているのだから、それでよいのではないか」
との昭和天皇が勅裁されたというお話です。
オオアラセイトウは、牧野富太郎博士が名付けていたのですね。
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牧野富太郎博士は昭和天皇のことを…
牧野富太郎博士のひ孫・牧野一浡さんも、富太郎博士と昭和天皇の交流エピソードを語っておられます。
インタビューで、昭和天皇の印象を尋ねられた牧野富太郎博士は、
「友達みたいでした」
と答えられているそうです。
牧野一浡さんは富太郎博士について、
「植物が好きな人はみんなお友達」
という感じだったといいますが、お茶目で素敵な方ですね。
というわけで、今回は
「雑草という草はない」という共通の名言を残した牧野富太郎博士と昭和天皇のエピソードをご紹介しました。
朝ドラらんまんを鑑賞しながら、改めて植物への敬意を払いたいと思います。
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