2023年4月にスタートした朝ドラらんまんが面白くなってきましたね。
主人公・万太郎に大きな影響を及ぼす人物・東大の田邊教授が登場しますが、今回は田邊教授モデルとなっている矢田部良吉教授について、
- どんな人なのか
- 非職の理由
- 死因
- 牧野富太郎との関係
についてリサーチしました。
矢田部良吉教授の経歴
1851年10月13日(寛永4年9月19日)に、現在の静岡県伊豆の国市に生まれた矢田部良吉さん。
ここでは、矢田部良吉氏の経歴をかけ足でみていきましょう。
- 1869年(明治2年)、開成学校の教官になる。
- 1871年(明治4年)、アメリカに渡り、1872年よりコーネル大学で植物学を学ぶ
- 1877年(明治10年)、東京大学で初めての植物学教授になる。
- 1891年、帝国大学理科大学学長とのトラブルにより停職。
- 1894年、植物学教授の地位を奪われ、免官。
- 1895年、1886年に設立された東京高等師範学校の教授になる。
- 1898年、東京高等師範学校の校長になる
1899年(明治32年)、8月7日、鎌倉沖で遊泳中に溺れ、47歳の若さで亡くなります。
明治時代の日本の植物学者として、レンゲショウマ科のキレンゲショウマを日本の雑誌に最初に発表し、名を残しています。
また、新体詩の紹介などに尽力、ローマ字表記を提唱したことでも有名な方です。
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矢田部良吉教授と牧野富太郎の確執とは?
続いて、矢田部良吉教授と牧野富太郎の関係をみていきましょう。
日本の植物分類学の父といわれる牧野富太郎博士ですが、研究では苦労していたようです。
牧野富太郎博士は、高知・土佐の出身で、小学校中退という学歴が足を引っ張ることも。
矢田部教授が牧野富太郎の出入りを許可
日本の博物館の父・田中芳男氏から東京大学理学部植物学科の矢田部教授宛の紹介状を書いてもらい、5年後に矢田部教授と面会を果たします。
植物への熱心さを認められた富太郎は、小学校中退の学歴を理由に反対意見もある中、矢田部教授に認められ、東京大学の出入りを許されるのです。
研究室へ出入りすることを許された牧野富太郎は、ひたすらに植物の研究を重ね、植物学雑誌を自費で出版しました。
その当時の教授が矢田部良吉です。
富太郎の出入りを禁止
そんなある日、矢田部教授は富太郎に、植物学教室への出入りの禁止を告げます。
これからは、自分たちで植物学の雑誌を出版することに決めたと言うのです。
矢田部教授の部下となる研究員としては優秀な富太郎。
しかし、やはり同じ植物学者という立場でみると、富太郎の存在は教授にとって脅威だったのでしょうか?
大学の権威と闘うことになった富太郎には、同情してくれる人物も多かったようです。
というのも、植物学雑誌は、すべて牧野博士の自費出版。
生活費を含めたほぼすべての費用が、高知の実家からの支援でした。
しかし、牧野富太郎の実家の酒屋の経営もいよいよ厳しくなります。
牧野富太郎は実家の清算のために、地元の高知に帰郷しますが、その間に矢田部教授が大学を辞めさせられたのです。
矢田部教授に対抗するつもりで、権威との闘いを考えていた富太郎ですが、肩透かしに…。
矢田部良吉教授が辞めさせられたのは、牧野富太郎との確執が原因ではなく、他に大きな要因があったようです。
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矢田部良吉の非職の理由は?
1887年(明治20年)5月に、学位令が公布となり、それまで助教授だった矢田部良吉が教授になりますが、1891年(明治24年)3月31日に、矢田部教授が非職になります。
矢田部教授が非職になった理由として、牧野富太郎自叙伝には次のように記載されています。
「その原因は、菊地大麓先生と矢田部先生との権力争いであったといわれる」
菊池大麓とは、明治の数学者で教育行政官。
当時、帝国大学理科大学学長で、矢田部教授とはライバル関係だったようです。
さらに、
- 矢田部教授は西洋に夢中で、鹿鳴館でダンスをする他、色々な職を兼任していたこと
- 授業はすべて英語で、放任主義だったこと
なども矢田部良吉の非職の理由として考えられています。
また、牧野富太郎: 花と恋して九〇年によると、
矢田部良吉教授の友人・外山正一帝国大学文科大学長が非職理由を次のように公言したと記されています。
「矢田部には詰まり不人望という罪があった。同僚の間における所の不人望、又同時に確かに矢田部君より目上の者達の間における不人望」
そして、菊地大麓理科学長とその弟である、箕作佳吉大学教授が結託して米国追従の矢田部良吉氏を大学から追い出したという噂が流れたと、紹介されていました。
らんまんでも、田邊教授は、なにかと複雑な人間関係に苦しんでいるようにも見えますよね。もしかしたら、山本浩司さん演じる動物学の美作教授が絡んでくるかもしれませんね。
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矢田部良吉の死因は?
矢田部良吉氏は、47歳の若さで亡くなっています。
その死亡の理由は、鎌倉での遊泳中の溺死によるものでした。
牧野富太郎 花と恋して九〇年には、当時の新聞記事に基づいて、矢田部良吉氏の死亡の経緯がまとめてられていたのでご紹介します。
避暑で鎌倉を訪れる
矢田部良吉氏は、明治32年8月3日より、奥様やご子息と一緒に鎌倉海岸をのぞむ一軒家に避暑に訪れていました。
当初は、時化のため波が高く遊泳禁止となっており、矢田部氏はご子息たちと由比ガ浜の散歩を楽しんでいたそうです。
晴天になり、遊泳禁止が解けた8月7日、矢田部氏はご子息と海水浴を楽しみました。
医師による救命措置もかなわず
しかし、前日までの時化の影響で海水に渦ができ、引き潮によって矢田部氏は100mほど沖の方に流されてしまいます。
泳ぎが得意だった矢田部氏は、浜辺に向かって両手をあげ助けを求めたといいます。
それでも、海中にのみこまれてしまった矢田部氏。
引き揚げられ、池田謙斎という医師に人工呼吸などの救命措置を施されましたが、蘇生には至りませんでした。
らんまん第101話でも、史実をもとにした同様のエピソードが展開されますね。
家族での楽しい旅行中の事故、心がいたみます。
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矢田部良吉に息子はいる?
大学教授を辞めさせられた矢田部良吉教授ですが、家族構成はどうだったのでしょうか?
矢田部良吉は、2度結婚しており、
- 前妻・録子とは、1878年2月末に結婚、1887年10月3日に死別
- 後妻・順と1887年12月に結婚
しています。
らんまんでは、中田青渚さんが矢田部良吉氏をモデルとした田邊教授の妻を演じていますね。詳細はこちらの記事でもご紹介しています。
矢田部良吉氏には、5人の息子さんと娘さんが何人かいらっしゃったようです。
5人の息子さんたちに関しては次の情報が得られました。
- 1881年(明治14年)6月、長男・秀吉が誕生するも、翌月に亡くなる。
- 1887年(明治20年)8月21日、次男・俊二が誕生。
- 1890年(明治23年)10月6日、三男・雄吉が誕生。
- 1893年(明治26年)10月24日、四男・達郎が誕生。
ー日本の心理学者で、京都大学名誉教授に。YG性格検査の考案者として知られています。
ー1958年3月24日没。 - 1896年(明治29年)3月 27日、五男・勁吉(けいきち)が誕生。
ー日本の声楽家、音楽教育者で国立音楽大学の創設者の1人
ー1980年11月26日、84歳で没。
以上、今回は朝ドラらんまんで田邊教授のモデルとなっている矢田部良吉さんについてご紹介しました。
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